上手く言えない君が好き
「 ○○くんって雨の日の夕方の喫茶店みたい 」
「 しかもそれを無自覚で誰にでも出来ちゃうよね 」
そう言い放つ彼女
冷めたカップの水面が揺れる
「 ふふっ、冷めちゃうね 」
僕では到底飲めない、苦すぎるであろう飲み物に手をかける
伏せられる長く繊細な睫毛と、落とされる影
さっきの言葉を呑み込む前、僕はその美しさにただ見蕩れた。
僕だってそこまで馬鹿じゃないよ?多分ね。
だけど正直、未だに僕は君の言ってることの半分も理解出来てない。
だけどね、多分ね、
僕が君にできることって、
肩を貸したり、手を貸したり。僕くらい無責任な言葉の方が、君は素直になれると思うんだ。
それだけは、なんとなくだけどわかるんだ。
だからね、いいよ。何度でも言ってあげる。
そうだね。
「 うん、大丈夫だよ 」